定年ゴジラ --- 重松清 --- 文庫本

ここのところ、お下がり読書が続いている。イメージ 2

開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。「ジャージは禁物ですぞ。腰を痛めます。腹も出ます」先輩の町内会長、単身赴任で浦島太郎状態のノムさん、新天地に旅立つフーさん。自分の居場所を捜す四人組の日々の哀歓を温かく描く連作。「帰ってきた定年ゴジラ」収録の完成版。

重松 清
 1963年岡山県生まれ
 早稲田大学卒業後出版社勤務を経て執筆活動に入る。

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本書は1998年3月小社より刊行。文庫化に当たり「帰ってきた定年ゴジラ」(「小説現代」2000年3月号)を新たに加えた。

講談社文庫 2001年2月15日第1刷発行 発行所 講談社

本書中の作者による「文庫版のためのあとがき」から、部分的に引用する。
東京郊外のニュータウン―本書の舞台・くぬぎ台にも重なり合う、少々トウのたった住宅地に、29歳の頃から暮らしている。--- 中略 --- 我が家でもその時期、実父と義父があいついで会社を定年退職していた。
父親の世代を主人公にした物語を、三十代前半の息子が、しかも三人称で書く --- 後略 ---

主人公の山崎さんが60歳で定年退職した。文中で、長島茂雄と同い年と言うから・・・1936年生まれだ。
60歳を迎えたのは、1996年だな。その時の ken-ta くんは・・・46歳、作者は、33歳・・・か。

年齢をクドクドと調べたには訳がある。自分の子供の頃、入社した頃、東京に転勤してきた頃・・・そして今のマンションを永~いローンを組んで買った頃を思い返していたからだ。
小説家とは言え、昔の事をこれほどまでに描けるものなのか、と。

山崎さんの家族、そして三人の仲間達の心情・・・身につまされる物語だった。